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Channel: わたしんちの医学革命と雑多な情報
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抗生物質って? 細菌って?何かを知らないとむやみやたらに使えない

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残念なことに、世界は抗生物質への耐性を知らせるメッセージを聞きのがし、気づいたときには手遅れになっていた。(本書より)

ーーーーーーーーーー以下引用ーーーーーーー

  薬の歴史

紀元前2000年   さあ、この根っこを食べなさい。
西暦1000年  そんな根っこは野蛮だ。さあ、祈りなさい。
西暦1850年  そんなお祈りは迷信だよ。さあ、この妙薬を飲み干してごらん。
西暦1920年  そんな薬は当てにならないよ。さあ、この錠剤を飲みなさい。
西暦1945年  そんな錠剤は効かない。さあ、このペニシリンを注射しよう。

西暦1955年  おっと……バイ菌が突然変異した。さあ、このテトラサイクリンを注射しよう。
西暦1960~1999年 さらに39回の 「おっと……」。さあ、もっと強力なこの抗生物質を 注射しよう。
西暦2000年 バイ菌の勝ちだ! さあ、この根っこを食べなさい。
                                  作者不詳 (2000年)

ーーーーーーーーーーーー引用終わりーーーーーーーーーー

ブラックジョークだが、真実をついているようです。 ↑ 

 

WHO、さらに送れて日本の厚生省から「抗生物質への耐性菌」ということで「使いすぎに警告」を出したが、

呑兵衛師には遅すぎたようだ。

すでに肝臓が冒され・・・・

呑兵衛師曰く「嗚呼・・・やめるのが遅すぎた・・・・」とね。

 

大日本帝国が「負け戦に気づいた時」すぐに戦争を終わらせる事が出来なかったのと似ているようだ。誰もなかなか言い出せない。誰もそうしようとはしない。トコトン行くまで行くしかない。

そして、無益な闘いはつづき、多くの人が亡くなり傷ついて、国土は焦土化した・・・

抗生物質の運命もこれに似ているのだろうか?

 

 

「細菌が世界を支配する」より

細菌が世界を支配する―バクテリアは敵か?味方か? 細菌は世界を支配する。そして人間もその世界の中に住んでいる
微生物を悪とする医学上の間違いの根本知識を得よう  

ーーーーーーーーーー以下引用ーーーーーーー 

(誤字がありますので本書を購入してください)

 

 抗生物質ってどんなもの?

 抗生物質には、ほんとうの抗生物質とバクテリォシンのふたわのグループがある。

 
ほんとうの抗生物質は微生物によって、別の無関係の微生物を殺すために作られる。

 
アォカビ属(ペニシリウム属)のカビが、自分のテリトリーをおびやかすほど近づいた細菌を殺すために、抗生物質のペニシリンを生みだすのがその例だ。

 
もう一方のバクテリォシンは、細菌によって別の細菌を殺すために作られる。

 
たとえば大腸菌は、腸内細菌科の大腸菌の仲間を殺すバクテリオシン、コリシンを産生する。

 
バクテリォシンのなかには、場所や食べもの、光や水をめぐる競争を減らすことだけを目的として、まったく同じ種の別の菌株を殺すものもある。

 
 ほかの細菌を徹底的に殺してしまうものは、殺菌性抗生物質と呼ばれる。

 
それより弱く、ただほかの細菌の成長を遅らせるだけのものは、静菌性抗生物質と呼ばれる。

 
ペニシリンは、相手の細菌にしっかりした細胞壁を作らせないようにし、その細菌が周辺の毒性物質に負けて死ぬように仕向けるので、殺菌性だ。

 
それに対してテトラサイクリンは、タンパク質の合成を妨げるだけで、必ずしも細胞を殺してしまうとは限らない。

 
それらの細胞は代わりの合成経路に切りかえるかもしれないが、それによって増殖の速度が落ちるから、テトラサイクリンはその役割を果たしたことになる。

 
図3・1は、さまざまな抗生物質に対する細菌の感受性を判断するための、簡単な実験室での試験を示したものだ。

 
 抗生物質の構造には、いくつかの炭素と水素のほかに炭素環や分岐も含まれていて、分子の構造が複雑に見える。

 
細菌の酵素が抗生物質を見分けて傷つけるのを少しでも難しくするために、自然は入り組んだ構造を作りあげたのだろう。

 
ところが人間が自然の計画に手出しをし、抗生物質を使う量をどんどん増やしてきたから、細菌が抗生物質にさらされる頻度が高くなってしまった。

 
ペニシリンがはじめて商業的に利用されてから20年後に、抗生物質が効かない 「抗生物質耐性菌」が出現した。

 
今では、表3・1に示した天然抗生物質のすべてに耐性菌が見つかっている。

 
化学者たちは病原性のある細菌の裏をかいてやろうと、さらに複雑な新しい抗生物質を人工的に合成することによって、細菌の先を行く努力をつづけている。

 

 アメリカ合衆国では、1年間に2万5000トンの抗生物質が生産されている。

 
薬のほとんどは人間の医療用と農業用だ。

 
農業用の70パーセントは、家畜の成長速度を高めるとともに、工場式畜産で感染症の広がりを防ぐために、食肉用のウシ、ブタ、ヒッジ、ヤギ、家禽(ニワトリ、カモ、七面鳥など)に与えられている。

 
残りは、イヌ、ネコ、ウマ、その他の家畜、毛皮をとるための動物、魚、植物、樹木などに利用されている。


 食肉の生産者は、飼育している動物にひっきりなしに抗生物質を与えていることで、厳しい非難を浴びてきた。

 
私が大学で畜産学の勉強をはじめたころには、食肉用の動物に抗生物質を使うのは有益だと、ごく当たり前に考えられていた。

 
健康なウシにもブタにも家禽にも、体重が増える期待のほかには特に理由もないまま、治療目的の場合より少ない量の複数の薬が与えられた。

 
このようなやりかたに対して疑問の声が高まったために、研究者は抗生物質を与えられている健康な動物の消化管を、反勿動物とそうでない動物の両方で調べてみた。

 
その結果、抗生物質に耐性をもった細菌が見つかったが、抗生物質の投与によって耐性ができたことを証明するのは難しい。

 
 畜産業者は長年にわたり、食肉生産の効率を上げるために抗生物質は必要だと主張している。

 
食肉用の動物たちは、生まれてから処理場に送られるまでずっと、ひどく狭苦しい場所で暮らすので(「工場式畜産」という呼び名の由来はここにある)、病気が蔓延しないようにと薬が与えられるのだ。

 
工場式畜産では、窮屈なところに詰めこまれて一生を送る動物にストレスが加わり、ストレスは免疫を低下させる。

 
さらに、暮らしている動物の密度が高いから、感染のリスクも高まる。

 
工場式畜産を支える論理と家畜に抗生物質を与えるやりかたは、合理的とはいえず、どちらもやめるほうが賢明ではないだろうか。

 
 農業界の言い分は、効率的な大量生産方式の畜産によって、食品の値段を安く保てるというものだ。

 
研究者たちは、抗生物質を与えられた動物では、腸内細菌の構成比率が変化していることを突きとめた。

 
ところが、細菌数の変化と家畜がより速く成長することの関係を見極めるのは、もっと難しい。

 
 大規模農業は、抗生物質を利用する方法をきちんと公表していないから、消費者は自分が買う肉に抗生物質が含まれているとしても、それがどんなものかはなかなかわからないだろう。

 
 食肉用の動物に治療レベルに満たない量の抗生物質を与えることで、環境にどんな影響があるかは、まだほとんどわかっていない状態だ。

 
ただし、ふたつの成り行きが考えられる。

 
第一に、糞尿といっしょに排泄された抗生物質耐性菌が環境に入り、生態系に害をおよぼす。

 
第二に、生焼けの肉や半熟卵を食べた人には、耐性菌が体内に入る確率が高くなる。

 
食べものは無菌ではなく、調理をしても病原菌がまったくなくなるという保証はない - 調理によって、細菌の数がより安全なレベルまで減るにすぎない。

 
私たちは毎日毎日あちこちで病原菌を取りこんでいるのだが、細菌の数が病気を引きおこすほど多くないので、なんともないだけだ。

 
それと同時に、少数であれば病原菌にさらされても、住みついている常在細菌と備わっている免疫系がからだを守ってくれている。

 
 欧州連合 (EU)とカナダは食肉用動物に対する抗生物質の使用を禁止している。

 また世界保健機関 (WHO) は、農業での抗生物質の使用に懸念を表明している。

 
だがアメリカ合衆国では抗生物質の使用がつづいていて、食肉を生産している州はいまだに、肉の抗生物賓が人間のこすことを証明する明らかな証拠はないと主張している。

 
明らかな証拠を見つけることは、科学のどの分野でもとても難しいから、消費者は肉製品の安全性を自分で判断して選ぶしかない。

 
 糞尿の山を通過して流れる水に混じった抗生物質は、農場から出て地表水に入っていく。

 
完璧な世界であれば、廃水は環境を汚すことなく、排水処理施設に送られるだろう。

 
でもそれは、アメリカだけを見ても、毎日出る糞尿の量から考えて非現実的な話だ。

 

排水処理施設と飲料水の殺菌では、抗生物質を完全には排除できない。

 
2005年にはウィスコンシン大学の研究者が、処理済みの廃水から6種類の抗生物質を検出した。

 
テトラサイクリン 皮膚、尿路の感染症、一部の性感染症の治療に使用。

 
トリメトプリム 子どもの耳の感染症、尿路感染症の治療に使用。

 

スルファメトキサゾール トリメトプリムとの組みあわせで、耳、気管支、尿路の感染症の治療に 使用。

 
エリスロマイシン 呼吸器感染症の治療に使用。

 
シプ@フロキサシン 下部呼吸器・尿路、その他の感染症の治療に使用。

 
スルファメタジン 動物の呼吸器その他の感染症の治療に使用。

 

すべての地域の処理水が危険だとか、水のなかの抗生物質が必ず有害だと言っているわけではない。

 


しかも、ここにあげた研究で検出された薬剤は10億分の1レベル、つまり3メートルほどのサイロいっぱいに詰まったトウモロコシのなかの1粒に等しい。

 
 年ごとに環境に加わっていく抗生薬は、生態系に影響をおよぼしているわけだが、科学者はまだその実態をすべて把握してはいない。

 
だから一般の人々にも知るすべはない。

 
それでも、病気のウマに注射された抗生物質が、遠く離れたところでコップに注がれた水道水やおいしそうなカキ料理に行きついていることを想像してほしい。

 
 はじめて抗生物質が実用化されたとき、それは人々の健康にとって即効性のある絶大な効果を発揮し、困ったことになると予想する人などほとんどいなかった。

 
ところがやがて問題が起き、しかも最初に思いもよらないところで警鐘が鳴った。

 
残念なことに、世界は抗生物質への耐性を知らせるメッセージを聞きのがし、気づいたときには手遅れになっていた。

 ーーーーーーーーーーーー引用終わりーーーーーーーーーー

 

オマケ  細菌と抗生物質の闘い.mp3

 

 


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