音声はこちら →「薬が効かなくなってくる!」昭和20年代からの警鐘
いずれは抗生物質は超耐性菌の蔓延で無効になるやも知れないのですが、他の薬も同じように思われます。
なぜなら自然界は浄化の力を増し、薬の方ではその浄化停止のための毒成分だからです。
体のほうではその毒成分をいつまでも受け入れるはずもなく、薬の効果(症状緩和、停止)が段々と薄くなってくるからです。
まずはそれが抗生物質にはっきり出てきたようですが、おそらく他の薬にしても同様なことになるかも知れません。
岡田茂吉の医学論のすべてを肯定する必要もありませんが、かなり当時(昭和20年代まで)の話に信ぴょう性が出てきたようです。
その中から、当時の講話や論文から一部抜き出してみました。
ようやく現代でも薬の危険性が書かれた本がいくつも書店に並ぶようになってきました。
ここまで半世紀以上もかかったということですが、それだけ薬の浄化停止のための研究開発も優秀だったというわけでしょうね。
しかし、どこまで行っても相手は自然界、所詮はお釈迦様の手のひらの内、いつか薬の効果の期限切れ、どころかその正体である毒性がもろに現れることになるというショッキングな話ですが、いちおうご参考に。
良いとこだけ取り でお願いいたします。
医学が私の説を採入れ始めた?
『栄光』224号、昭和28(1953)年9月2日発行
去る六月九日の時事新報紙上に、栄養剤について私の唱える通りの説を、慶大医学部西田敬教授がいった言をかいてあるので、私は誠に喜ばしく思った。また医 薬についても、生温(なまぬる)い点は多々あるが、これまでの説と異(ちが)って余程私の説に近いものがあった。このようにたとえ少しずつでも医学の方で 分ってくれるとしたら、私望外の幸であるという事を一言付け加えて全文のまま左に掲げる事とした。
肝心の時効かなくなる
危い素人診断
新薬ホルモン剤常用御注意
近頃の新聞や雑誌を手にとって目につくのは、病む人でなくてもまず薬の広告でしょう。
けれどもその広告にうたわれた効能をいわゆる素人診断で適応症にあて はめ、家庭で簡単に用いるのは危険です。
特にペニシリン、ストレプトマイシン、オーレオマイシンなどの抗生物質の薬やその他の新薬は、いい加減に使ってい ると病原菌に抵抗性が出来、肝心の時に効目がなくなったり、思いがけない結果を招く事があります。
それでなくても人間の身体は適応性を持っているので、た とえばある期間ビタミン剤を連用していると、純粋な形のビタミンがどんどん補給されるので食物の中から苦労して消化吸収する必要がなくなり臓器の能力がだ んだんにおとろえて来ます。
同じことはホルモン剤にもいえる。
やたらとホルモン剤を服用することによって、体内での分泌能力がますます弱くなり 薬の切れ目には以前よりも悪い結果になるだろうことは、学問的にとまでいわなくても常識で考えられることです。
はっきりとした欠乏症状の現われた時に医師 の指示を受けて用い治ったらやめるというケジメはどの薬についてもいえるわけです。
予防の意味でなら薬にたよらず臓器自身の働きで、消化吸収または分泌を うながすよう、食事の注意から心掛けるのが本当でしょう。
また一般に薬というと、目に見える効目(ききめ)を頼り熱が出れば解熱剤、頭が痛めば鎮痛剤と、 その現われた症状だけをおさえつければなおったように思う人が多いようですがこれは間違いです。
もともと身体はそのどこかに異状が起ると、熱や痛みその他 の形をとってそれらと闘おうとする作用を持っているので、それぞれの症状にはそれ相当の理由があるのです。
その原因もたしかめずにただ無闇とおさえつけて しまったのでは、かえって病状を悪化させることにもなるのは当然といえましょう。
どうしても原因の分らない時とか、原因を探すよりさきに処置しなくては、 生命に危険な高熱とか痛みでもない限り、薬はどこまでも原因に対して使うのが本当です。
それにはまず医師の注意に従い、間違いのないよう実行するよう心掛 けたいものです。
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次に昭和28(1953)年9月2日の話より
新聞記載の記事を転載したものから
既に昭和の20年代に、抗生物質の使用が将来耐性菌の出現で無効になるだろうという警鐘がされていたようです。 (医師からの話)
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去る十二月九日内外タイムス掲載
性病戦線異常あり
戦後性病の救世主ともてはやされたペニシリンの出現から、近頃ではオーレオマイシン、テラマイシンに至るまで、新薬は次々に誕生するが、性病は一向無くならない。
それどころか巷間にはペニシリンも効かなくなったという声さえ聞く。
このように変ってきたのは人体に抵抗ができた為だろうか、それとも薬の効果が薄くなったのだろうか、今回の「性の教室」は昔からの治療法の変遷と、最近「性病戦線」について吉原病院長雪吹周、回春堂病院医長荘田修一郎の両氏に説明して貰った。
もう効かぬペニシリン“学理”覆えす“臨床”
まず絶対的にされていたペニシリンの効果につき疑いがもたれているが、これを雪吹氏は臨床家として次のように解明した。
私達が初めてペニシリンを扱った時は、それこそ淋病の絶滅も夢ならずと考えられた程だ。
ところがペニシリンが使いよいようなスタイルで製造されて来た。
そうするうちに使用量がぐんぐん増えてきてしまった。
最初使ったのは水溶性結晶ペニシリンで、特徴としては吸収が早く、血中の濃度が上昇して排泄が早く下る為に有効時間が短いという欠点があった。
その為に数時間後には次々と注射補給をしなければならない不満があった。
しかし間断なく補給注射したとき実際効果は顕著だった。
そのうち淋菌に対して血中濃度を長い時間保たせるように油に溶かしたものができてきた。
これを油蝋牲ペニシリンというが、これとか痛み止めのために油性のブロカインが入ったもの、ステアリンサン、アルブミンなどの混入されたペニシリンが生まれた。
これは吸収が緩慢で長時間血中濃度を保つようになり、一度に必要量を注入することができるので大変便利になってきた。
ところがこれを使うようになってから淋疾などの治療成績が落ち出してきた。
つまり水溶性の際には総量二十万単位で全治したものが、ブロカイン入りのものなどでは三十万単位を最低として、九十万単位位まであげて注射しなければならなくなった。
これはペニシリンそのものが淋菌に効かなくなったというよりも、ペニシリンの使用を便利にしたため、血中濃度の上昇速度が落ちて効かなくなったと思われる。
いまでも場合によって水溶性を使えばよいと思うことがある。
又医師がペニシリンに対して信頼感をもちすぎた事と、患者が何でもペニシリンさえ射てばよいと素人療法で無軌道に乱用して拗らせたことも原因だ。
ペニシリンを注射すると一時症状は除けるが、その後数日間細菌学的検査を行った場合には約二割の人々は完全に治癒していない。
治ったと思い込んでも実際は慢性に罹ってしまってその後は九十万単位も注射しないと治らないという型の淋疾ができてきた。
これも治りにくくなった一つの原因といえるであろう。
ともあれ一般にペニシリンには抵抗性耐性がないもので、撲滅できない淋疾はあり得ないということがいまだに学界の定説。
しかし患者の症状――疾病の時期に応じて、ペニシリンを選択し、臨床的、細菌学的に治療を施さなければ効果は少く拗らせたものは根治し難い。
また梅毒もサルバルサンを四、五本射てば効いた当時と、現在のペニシリンとでは薬物的に違ってきて安全さを尊ばれている。
昔は副作用が強かったのだ。
しかし梅毒は淋疾と違って中途半端な治療を数回繰返すと極めて治り難いものが生まれてしまう。
これからみても梅毒は耐性があるということが言えるようだ。
良薬を打負かす菌 いく度か出た“救世主”
次に性病治療の変遷を荘田氏は次の様に説明している。
梅毒は明治時代は水銀療法だったが、これはある程度進行を食止めるに過ぎなかった。
大正三年にサルバルサンができて、それまでよりは効果があるとされたがこれも昭和六年頃になると一週一回で治っていたものが、極量治療を行っても一週二回は射たなければ治らなくなってしまった。
この他大正九年には水銀に代ってビスマスという薬が現われたが効果はなかった。
以来昭和二十一年までサルバルサンによる治療が続けられたが、次第に効果が失せてきた。
そこへペニシリンが救世主切ように出現した。
だがこれも束の間、当時は三十万単位で快癒したものも、今では初期でも六十万単位を十本位射ち込まなければ効かない。
まして二期梅毒にでもなれば最低九百万から三百万単位を叩き込まなければならず、サルバルサンでも三十本以上を必要とする。
それが第三期以上だとどれ程射ったら効くものやら見当もつかない。
一方トリッペル(淋病)はかつて比較的効果のあったものにサンタールという飲み薬があったが、これは症状を緩和する程度であった。
次にカルシウム色素剤ができてかなり症状を好転させた。
これに次いでズルファミン剤が現われて効果一層よくなり、膿も止まる様になったが、次第に菌が強くなって効果も薄れて来た。
終戦後はペニシリンができて、膿は三十万単位一本でピタリと止り、一時は淋病はこの世から追放されそうに思われたが、これ又例によって効果は薄くなり、それ以上でも根治しないものも出てくる始末、その後ストレプトマイシンが出てもてはやされたが、これも決定的な武器とはならず、続いてクロロマイセチン、テラマイシン、オーレオマイシン、アイロタイスンの新薬が名乗りをあげているが、これら新抗生物質をもととした最新薬も、拗らせた性病には最後のきめ手にはならないようだ。
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